東京カツカレーベスト5 第1位「資生堂パーラー」
一位は少し反則である。
「一番美味しいカツカレーは?」と聞かれたら、僕は迷いなく「資生堂パーラー」と答える。
しかしカツカレーというメニューはなく、カツレツと三元豚カレーの二品を頼んで合わせる。だから高価だが、十二分に報われる逸品となる。揚げ焼きした沖縄あぐー豚のカツの衣を、カリッと破れば、甘い肉汁が溢れ出す。
焦げ茶色のカレーソースは、苦味、酸味、甘味、うまみ、スパイス香などが、渾然とした味の厚みとなって、滑らかに舌を包み、うっとりとさせる。
カツを齧って直ちにカレーとご飯を食べれば、口の中で互いが味を持ち上げ、とても幸せな気分を呼ぶ。
その後にすぐカツを食べ、追いカツと洒落ても楽しい。
品格が見事に着地したカツカレーは、真の贅沢とは何かを教えてくれる味である。